チェーン店の場合ではどうでしょうか。先ほどあげた寿司屋さんも、機械が握る回転寿司屋はその工程はお客から見えないようになっています。レーンの中のお店の人に頼んでも、うまく客席から見えないように、直方体のご飯の塊にネタを乗せていますよね。
牛丼屋ですと、「吉野家」や「すき家」など多くのチェーンが客席から調理場があまり見えないようになっている一方、「松屋」は調理場が丸見えです。松屋はそれが価値になっているかというと、棚の引き出しみたいなところから生肉が出てきたり、豚汁やハンバーグをレンジで温めていたり、機械から丼にごはんがボトボト落ちてくる様子が見えたりと、どうも負の価値の方が大きい気がするのですがどうでしょう。
一方、絶妙なところでうまくやっていると思うのが「てんや」です。てんやはベルトコンベアのような機械で半自動的にてんぷらを揚げることで、職人を不要にしている天丼チェーンですが、その工程はお客からはまず見えないようになっています。じゃあ店の奥で揚げればいいかというと、ちゃんと揚げている音をお客に聞かせるため、カウンターの近くで(見えないようにして)揚げているとのことです。視角だけでなく、聴覚による価値というのもあるんですね。
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