2012-06-05

価値研3:高級なドトール?

有名飲食店の場合、その名前でどんなお店かすぐ分かりますよね。例えばコーヒーショップだと、「スターバックス」は「禁煙」「洗練」「ゆとりある空間」(サードプレイス、なんて言うらしいですが)などの価値を、一方「ドトール」は「喫煙」「廉価」「サボリーマン」(?)などの価値を、そのブランドは伝えているのではないでしょうか。

 さて、港区北青山、地下鉄外苑前駅のほど近くに一軒のコーヒーショップがあります。246沿いの利便性の高い立地、デザイン事務所が手掛けた洗練されたインテリア、同じくライティングのデザイン事務所が手掛けたLED照明による明るい店内、そして全席禁煙ということで、結構店内もにぎわっています。

 この店、実は「ドトール外苑前店」なのです。ドトールもこれからはサボリーマンだけの場所じゃないんだよ、ということをいいたいのかもしれませんが、青山のおしゃれなカフェでくつろぎたい、というお客さんにも、ドトールでタバコ吸って東スポでも読むか、というお客さんにも両方マイナスの価値を与えている気がするのですが、どうなのでしょう。

 もちろんドトールという看板にしておけば、席が狭くてもさほど文句を言われないから狭い店舗でも大丈夫だとか、黙って食器を下げてくれるので人件費を下げられるとかあるかもしれませんが、違うブランドにして客単価をもうちょっとあげるという手もあるのかなあ、という気もしてしまいます。
http://shoene-shomei2010.jp/designbook/doutor_gaienmae.pdf



価値研2:作っているところを見せるか隠すか?

飲食店で、作る過程をお客に見せることが価値になっているところがありますよね。シェフが目の前で焼いてくれる鉄板焼き屋さんや、寿司屋さん、バーなんかは好例かと思います。調理課程自体が見て楽しいといったことや、あなたのためにやっている感、変な物入れていないよという証明、などが価値につながっているのではないでしょうか。

 チェーン店の場合ではどうでしょうか。先ほどあげた寿司屋さんも、機械が握る回転寿司屋はその工程はお客から見えないようになっています。レーンの中のお店の人に頼んでも、うまく客席から見えないように、直方体のご飯の塊にネタを乗せていますよね。

 牛丼屋ですと、「吉野家」や「すき家」など多くのチェーンが客席から調理場があまり見えないようになっている一方、「松屋」は調理場が丸見えです。松屋はそれが価値になっているかというと、棚の引き出しみたいなところから生肉が出てきたり、豚汁やハンバーグをレンジで温めていたり、機械から丼にごはんがボトボト落ちてくる様子が見えたりと、どうも負の価値の方が大きい気がするのですがどうでしょう。

 一方、絶妙なところでうまくやっていると思うのが「てんや」です。てんやはベルトコンベアのような機械で半自動的にてんぷらを揚げることで、職人を不要にしている天丼チェーンですが、その工程はお客からはまず見えないようになっています。じゃあ店の奥で揚げればいいかというと、ちゃんと揚げている音をお客に聞かせるため、カウンターの近くで(見えないようにして)揚げているとのことです。視角だけでなく、聴覚による価値というのもあるんですね。



価値研1:隠したい親会社

その会社の株主なり親会社が、世の中に知られると製品やサービスの価値が下がりかねない、という例がいくつかありますよね。

 例えば、
―○ニヴェルセル(表参道などの結婚式場)の親会社が○OKI HD
―○番屋(○コイチ)の株主が○ウス食品(19.55%)
―○武・○ごうの親会社が○ブンアンドアイHD
―○城石井の親会社が○ックスHD(○角などの○インズインターナショナルも同じグループ、現在○城石井は丸の内ホールディングスに譲渡)
―○.G.I. FRiDAY'S の運営が○タミフードサービス

 などで、主に親会社の主サービスが想定する客層よりも上位の客層をメイン顧客にしている場合、このようなことが起こるようです(○コイチの例はちょっと違いますね)。
 親会社の空気や情報をいかに表に出さないようにするか、というマネジメントがどのように行われているかは非常に気になるところですが、直接聞くのはなかなか難しそうですね。