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2011-07-20

野口悠紀雄先生講演「復興財源は対外資産の活用が最適」

 早稲田ファイナンス研究所の顧問である、野口悠紀雄先生の、震災復興に関する講演を聞いてきました。
 結構専門的で難しい話かと思いきや、マクロ経済を学部で勉強したかどうかすらあやふやな自分にもわかりやすい内容で、大変勉強になりました。
 今回はシリーズの2回目で、まだ続くようですのでみなさまもよろしければどうぞ。
 http://www.waseda.jp/wnfs/finance/finance3.html

 講演の主旨としては、「復興財源は対外資産の活用が最適」というもので、これは講演のタイトルでもあります。
 あとは、

 ・消費税の一時的増税は、住宅など耐久消費財の市場が急激に冷え込む
 ・所得税だとその間に退職して退職金をもらう人に不公平
 ・税ならためられないものに課税すべき。例えば電気。需要抑制にも必要
 ・復興は資本的支出で将来にも便益を及ぼすものなので、借入の増加や資産の取り崩しで行うべき
  (将来にも負担をかけるべき)
 ・内国債は、償還時に償還と増税が相殺しあい、日本の負担を増やさない
 ・外貨準備は変動金利制では不要なので取り崩すべき(米国債の売却)
 ・取り崩しに伴う円高は容認するべき
 ・為替評価損が顕在化するので財務省が嫌がるが、長期保持はさらなる円高をもたらす

 といった内容でした。
 
 まぁちょっとこれだけだとわかりにくいと思いますので、講演全文をアップしておきますのでよろしければご覧くださいませ。恐らく後日、公式サイトには動画もアップされると思いますが。
 http://dl.dropbox.com/u/26558763/110720%20%E9%87%8E%E5%8F%A3%E6%82%A0%E7%B4%80%E9%9B%84%E5%85%88%E7%94%9F.txt

2011-06-17

トリティーン・元ドイツ環境大臣 講演会(その2)

 こちらが講演の本編です。


○Q&A
Q:わかりやすく講演いただきまして、政策が理解できた
 現在フランスでたくさん原発が稼働している
 当然ドイツにも事故があれば影響があるが
 外交政策を教えていただけないが

A:EUには原発がない、あるいはもう閉鎖した国は、複数あります
 例えばデンマーク、オーストリアといった小規模な国
 そしてより大きなポーランドと言った国は
 フクシマ前までは原発の建造を考えていたが、いま大きな議論になっている
 またイタリアにおいてもご存じのとおり投票総数の95%が原発にNOを突きつけた
 欧州全体を見ると建設中の原発は現在2基
 この2基の新原発、この稼働を開始しても、この数年
 老朽介して閉鎖すべき原発はどんどんあるので
 そこで生じる出力のロスをカバーすることはこの2基ではできない
 ドイツをはじめとするその他の国々の飛躍的な再生可能エネルギーの伸び故のみならず
 いま申し上げた理由から、90年代以降欧州では原発が果たす役割はどんどん小さくなってきている
 そしてかわいそうなフランスの話(会場笑)
 フランスでは夏になると一つの問題に悩まされる
 電力の輸入が必要になります
 なぜか、それは、原発の出力を夏になると下げなければいけない
 冷却水がなくなっていまう
 冷却水の温度が上がりすぎてしまうということがある
 他方で夏ですから、フランスにおいてはクーラーが使われる回数が増える
 我々はよき欧州市民ですので、フランスの同胞たちをもちろん助けてあげます
 しかしフランスにはもう一つの問題があります
 フランスは原発の電力、非常に割合が大きい。ベースロードで75%という大きな割合
 フランスはEUの国ですので、欧州の法規に関しては従わないといけない
 EUとしては2020年まではエネルギーの20%を再生可能エネルギーでカバーすべしと
 こうした拘束力のある方針があるので、フランスも従わなければならない
 フランスの電力が風力、太陽光ということになります
 しかし1/3といっても、夜間は太陽が、数年で押しなべて見た時の割合なので
 夜間は太陽は照りませんし、風が吹かない日もあります
 裏を返していうと、100%の電力需要を再生可能エネルギーでカバーできる日も来る
 そうすると原発はどうすればいいのでしょうか
 つまり原発は夜間出力を上げて、日中出力を下げるような芸当はできない
 システマチックな問題を送配電系統においてもつことになる
 
 私が予想するのは以上のような理由から、恐らく原発の設備の更新とか回収は費用を振り向ける度合いは減っていき
 その代り再生可能エネルギーにシフトしていくのではなかろうか
 ドイツ国境付近の原発は早く閉鎖してほしいが
 私たちが望んでいるスピードで話しえないだろうが
 方向としては少なくなっていくと予想しています

○閉会の辞/坪郷社会科学学術院教授

・私は時間の関係もあるので短く
 申し訳ありませんが日本語で

 赤と緑の連立政権で環境大臣のトリティーンさんが来られて
 大変印象深かった
 3つの話をされた
 まず、赤と緑の連立政権で脱原発の決定をしたがどういうものだったか
 2つは緑の党の現在のエネルギー政策、日本にも示唆があった
 3つ目はメルケル政権が大津原発の決定をしたと

 ドイツは2つの異なった政権が2回脱原発の決定をしたと
 赤と緑の党は2020年には脱原発と

 今回メルケル政権は、大震災という不幸な大災害があったが 
 直後の14日に従来のメルケル政権は赤と緑の決定を延長すると
 時期は延長するということを決めたが
 それを3か月凍結するといち早く言いました
 3か月凍結した間に新たな決定を行うと

 それが6月6日に、2020年までに廃炉をして、最終的に脱原発すると
 これは赤と緑の当のものとほぼ同じもの
 緑の党は従来一番早い時期の2017年には可能という提案をしたと

 連邦環境庁というのがあるが
 メルケル政権が6/6に閣議決定をする少し前に
 連邦環境庁は2017年までに可能という報告書を出した
 これも緑の党と一致

 日本にとっても非常に大事な報告だった
 地震と津波の関係から浜岡原発の中止の要請をして止めた
 菅首相はエネルギー政策の大きな見直しをすると
 原子力エネルギーは明確な立場を表明していないが
 再生可能エネルギー、省エネルギーを推進すると

 今後の政策で第一にすべき点はヨーロッパやドイツに見習って
 エネルギーの自由化、電力の自由化を行って
 ガスと電気の自由化も含めて行う 
 それが基礎になる

 その次に、日本は50Hzと60Hzに分かれているが
 発電会社と送電会社が地域独占をしている
 これを分離するのが第二の重要な点
 ヨーロッパやドイツですでに行われている

 3番目として再生可能エネルギーを増やすために
 全量買い取り制を法案化する

 さらに今日強調されたように、省エネルギーが重要
 日本で10%省エネルギーをすれば脱原発ができる
 3割くらいと言われているが
 大震災と点検のために20%を切って
 16%くらいにすでに下がっている
 これは再開されないといずれ10%にまで下がる
 そこまで高くなくてもいける状況にいまある
 そうすれば省エネをさらに進める
 住宅と建物の省エネ

 最後の点は、強調されたように
 現在の電力網では不安定な部分もある再生可能エネルギーの調整は難しい
 IT技術を加えたスマートグリッド網を作りとできる
 そういう構想も主張された

 今日提案されたことを選択する時期に来ていると考えている
 今日は情報に満ちた素晴らしい講演をありがとうございました


○まとめ/トリティーンさん
・昨日、私はいわきを訪問いたしまして
 自宅から離れ避難しなければならなかった人たちを話をした

 あちこちを転々として、いまいることは8か所目だ、と言った人がほとんどだった
 お子さんたちは2回目、3回目の転校をしていた
 家だけでなく、仕事を失っている人たちがほとんどだった

 新聞を読むと、汚染された汚泥の問題が深刻化し
 放射性廃棄物として簡単に処理できないものが簡単に溜まっている

 また、いわき周辺には3月以降まったく漁に出られない漁業関係者がたくさんいました

 わたくしがこうしたことを申し上げたのは、事故を受けて実際に価格金銭的費用が原発のコストの一面
 これに人間的に及ぶ被害、苦しみ、そして経済的な問題加えて全部原発のコストとしてみていかないといけないのです
 
 こうしたことにかかる費用というのは、一部今回補正予算の中に組み込まれ、増税の中にも入ってくると思います
 こうしたことをみると、原発というのは、コストが安く済む費用対効果のいいエネルギーと言える人はいなくなるとおもう

 現在、今回の原発事故を受けて直接的に生じたエネルギー供給の穴があり
 そうしたものをこれから今代替している
 あるいは省エネによって変わることを模索しているが
 こうした状況からどうしていくか
 原発を、何もなかったように続けていくのかということ
 それよりは、いま(坪郷)先生がおっしゃられたようなシナリオを選ぶのか
 先生のシナリオのほうが有意義だと思います
 ありがとうございました

トリティーン・元ドイツ環境大臣 講演会(その1)

 ドイツは脱原発の決議間近らしいですが、ドイツ環境分野のキーマン、トリティーン緑の党会長(元環境大臣)の講演会に行ってきました。
 「フクシマ」を受けてメルケル首相率いる保守系与党もついに脱原発に舵を切ったようですが、日本の今後を考えるにも、とても参考となる講演会でした。しかし原発大国のフランスを「かわいそうな国」とばっさり斬っていたのが印象的でしたね。

 ということで、ちょっと長いですが、どうぞ。

…………
■ユルゲン・トリティーン 元ドイツ連邦共和国環境大臣 講演会
 「原発? おことわり! ~脱原発・代替エネルギー供給を目指すドイツ」
□日時:2011年6月17日(金)10:40~12:30
□場所:早稲田大学国際会議場3階会議室
□共催:早稲田大学国際部国際課 / EUIJ 早稲田
□協力:ドイツ大使館

□内容:
○司会挨拶/縣 公一郎教授(政治経済学術院)

・前環境大臣、トリティーン様本日はお越しいただきありがとうございます
 皆様には本日お越しいただきありがとうございます
 皆様にトリティーンさんの紹介を簡単にしたいと思います

 トリティーンさんは故郷、自分が勉強された地域の議会で選ばれました
 その後州議会議員に選ばれました
 その後1998年に連邦議会議員に、同時に環境大臣(連邦環境自然保護原子力安全大臣)になり
 当時は社会民主党と緑の党の連立政権で、7年間環境大臣をやられた
 2009年から現在まで、緑の党の院内総務をやられている
 では講演をお願いいたします

○講演

・先生方、おあつまりのみなさま、早稲田大学での講演の機会を頂き大変ありがたく思っております
 私は英語でやるものと思っていたので、パワポは英語で用意されてしまいました
 ドイツ語でという話を伺いまして
 ずっと同行している通訳が通訳しているので、うまくやってくれると思います(会場笑)

 よくこの6月の末に、おそらく全政党が賛成し
 2022年までにすべての原発を閉鎖するという決定がドイツの連邦議会でなされると
 どうしたらこのようなことが可能なのか
 現在17基あるうちの半分の即時閉鎖がどうして可能なのか
 
 この決定が下されるわけですが
 事の始まりは10年前、1998年、ドイツ社会民主党と緑の党が連立政権を組み
 原子力エネルギーをやめようと決定したときにはじまる

 最終的にそうしようときめてから、2001年に連立政権は電力事業者大手4社と合意した
 原発の利用をやめ、段階的に原発を閉鎖していくことについて合意した
 社民党、緑の党連立政権と事業者との合意
 激しく抵抗したのは当時野党のメルケル首相のCSUの会派

 最終的にこの同意がどのようなものであったかというと
 それまで原発は運転期間に制限がなかった
 しかし全運転期間を平均32年として
 発言できる電力量を決め
 それで原発、電力会社通りの運転結果の期間をやり取り可能とした
 沿った形で原子力法を改正することが同意された
 
 原子力法の正式名称は
 元々は原子力の平和利用のための法律だったが
 原子力核エネルギーの秩序正しい終了に向けて、と大きく変えられた

 この法律の制定理由、改正理由は、非常に予兆を含むような目的があった

 その目的は、核融合のリスクというのがどの原子炉であっても決してこれをコントロールしたり
 完全に回避することは無理であると
 この大きなリスクを長期的、永遠に私たちは抱えていけない
 これが制定理由であると
 福島原発において3機がメルトダウンの危険があることを見ると
 当時からこのリスクについてそうしたリスクを持っていたことはお分かりいただけると思う

 当時から、すでに原発の3機が閉鎖されてきている
 メルハイムケーリッヒ、シュターゼ、オーブリッヒハイムの3機の原発です

 2001年に合意された時の、こちら(表)が原発の運転機関
 こちらが32年としたときの終了時期
 こちらは2011年の時期だが
 ここまで即時閉鎖される原発が含まれている
 どのみち2011年の合意時点でこれらの原発は閉鎖される時期にあった

 それよりも更に大きな重要性を持つといえるのが、間もなく制定された再生可能エネルギー機構
 電力を買い取る買電法
 低価格で買い取ることが義務付けられました

 この固定価格というのがどういうものか問うと
 20年間買い取り価格が保証される
 しかしながら毎年その固定価格は逓減的に減っていく
 1年後に何%か
 こうすることによって、一方では固定価格があるので投資をするための予見可能性による安定性の保証
 一方では逓減的なので、効率を上げないといけないプレッシャーがあるということになる

 この結果、新たな産業分野が生まれました

 ドイツは今日風力、太陽光、バイオマスなどの分野で大変成功している
 技術的のみならず市場的にも国際社会をリードしている立場にある

 ドイツはもともとエネルギー資源を輸入してきた国である
 このようにして国内においてエネルギーを生産できるようになった
 2006年に50億ユーロ分の費用をカットできた

 更に、その下をご覧いただくとわかるが
 2011年に37万人の新規雇用が生まれた
 こうした状況を見てOECDは独特な効率性の良さを示しているという評価を下している

 そもそもこのように原子力エネルギーを再生可能エネルギーで代替することは可能かということだが
 2001年の段階では日本の原子力エネルギーの割合とほぼ同様の27%あったが
 このように下がってきた
 今後の予想として、2020年までには1%まで下がるだろうと
 
 他方再生可能エネルギーはどうかを分けてみていきましょう
 青い線は、再生可能エネルギー制定当時に目標として掲げられたもの
 2020年までに20%をカバーしようという予測および目標を元に制定された

 しかしながら再生可能エネルギーの普及は予想を超える広がりを見せたことから
 2008年CDUとSPTの大連立政権だったが、目標の見直しをした
 2020年には30%を占めるだろうと
 これで原子力エネルギーを代替するどころか、上回るものとなっている
 
 しかし赤い線(30%)も間違っている

 正しい線は緑の線です
 だから、緑色を選びました(会場笑)

 2010年ですでに再生可能エネルギー17%を私たちは実現しています

 現在の政権はEUに対して再生可能エネルギー利用の指針について、38.6%を2020年までに達成するとしました

 この2つの施策を取ってきたことにより、非常に大きな変化が生まれた
 ドイツはエネルギーは輸入を続けてきた国
 しかし電力となるとヨーロッパは送電インフラがつながっているので輸出と輸入双方を行ってきています

 こちらご覧いただいているのは、輸出超過分、NETの輸出分の推移
 これにより相殺分で純輸出国になってきている
 大型の発電所7機分に相当する量を輸出している

 以上がこれまでの背景です
 こうした背景を土台として、福島の事故を受けて
 すべての政党が一致する中、どのような結論を政治として導くか
 それが脱原発となったわけであります

 私どもは今回の事態を受けて次のようなことをした
 段階規制、原発は段階的な閉鎖をしっかり行っていくべきである
 メルケル政権が稼働期間の延長としたが、すぐに撤回すべきだと要求してきた
 
 脱原発を行うだけでなく、緑の党では脱原発のステップをより加速すべきであると
 私どもの試算では2017年までに、目標となるが完全な脱原発を果たすことは可能であると
 このように要求を掲げます

 今回の脱原発で深刻度は少なくなるものの、解決に至らない問題がある
 それが放射性廃棄物の問題です

 こちらでご覧いただいているのは、公式の名称が試験最終処分場、アッセとよばれるもの
 ドイツ北部にある施設の状況、放射性廃棄物が入ったドラム缶
 岩塩鉱の中に貯蔵されている様子を示すものです

 岩塩鉱ですので、塩分を含んでいる水が滴る
 そうすると容器がさびて
 さびに放射性廃棄物を含む液体が漏出するということにある
 
 関係当局は廃棄物を外に出すことを検討しています

 私どもは、すべてのこれまでの経緯を白紙に戻し
 いかなる可能性も配乗しない形で
 最も適切なサイトを精査していかないといけない
 岩塩鉱が適地かは疑念を持つ専門家が増えています

 もし一つの分野から早く脱出(脱原発)を図りたいのであれば
 別の分野に早く入らないといけない

 すなわち再生可能エネルギー網という新しい分野をさらに充実させていかないといけない
 この法律の2つの重点分野を改正を目指す
 一つがリパワリング、出力改正です。とくに風力に対して

 再生可能エネルギー法が制定された当初の時期は
 風力発電機1機の出力は6~700kW
 それが現在では陸上の設備であっても6MW、中には7MWのものもある

 このようにして、より再生可能エネルギーの拡大を図りたいのであれば
 最も費用効率がいい形で陸上における風力発電の拡大を図れる
 これが短期的な方策だが
 長期的方策はバルト海、北海において認可が下りているオフショア発電があるが
 海上の部分をより広く利用していくべきなのです

 これを実現していくためには、市民近隣住民含めた、透明性を持って計画を進めていかないといけません

 そのために様々な面での法改正
 建物の高さの分野において公開性が必要です

 規制緩和を図っていくが
 重要なのは高さ規制の緩和をしていくことです
 10mの設備が高くなれば10%出力が伸びるとも言われている

 しかし再生可能えエネルギー拡大だけでは十分じゃない
 ドイツでは3つのeといっているが
 再生可能エネルギーの頭文字がe、エネルギー節約、エネルギー向上と合わせて3つのe
 
 そのために様々な施策がとられている
 一つは日本にならってEUが取り入れたもので
 トップランナーアプローチ
 最も効率が高い機器が7年後には全体の基準として取り入れられてる
 どんどん省エネ度が上がっていくダイナミックな制度

 こうした省エネ処置はどれだけ重要な効果を持ちうるかは
 たとえば待機電力の消費というもの、そのための技術はドイツの家電において
 1W以下に抑えることができるのであれば、ドイツ全体で原発2基分の電力を浮かせることができる
 そうした広がりを持つ取り組みになりうる

 ドイツの産業分野において工場などで使用されているポンプや、ファンのたぐいのものについて
 出力調整を微妙・柔軟に行える設備に取り換えたら、原発1~2基分の電力を浮かせられる

 化石燃料を使用する発電というものを行っていくのであれば
 褐炭、石炭、ガスがドイツでは化石燃料としては使用されているが
 効率性が高くなければいけません
 私どもは1次エネルギーからの変換効率が60%以上でなければならない
 これはガス発電は可能だが、石炭火力では無理なのです

 また、こうした選択、ガスを利用していくという選択は賢明なのは、例えば褐炭による発電は
 CO2の排出は900g、石炭は600gに対して、ガスは300gという差が見られる、ということもある

 さらなるメリットが、ガスにはあります
 ガスの利用を進めることによって私ども、24時間365日電力のベースロードを確保しないといけない
 こうしたプレッシャーにさいなまれているが、これから逃れられる
 ベースロードは、夜間電力需要がない時は無駄になってしまう
 ベルギーでも夜間に煌々と高速道路が照らされているようなことになる

 再生可能エネルギーの利用を進めると、振幅の問題がでてきます
 すなわち調整していかないという課題があるのです
 電力の供給のピークとベース、それから需要のピーク、ベースは必ずしも同時に現れるわけではない
 クリスマスにはみな静かに過ごして電力消費は減る
 しかし風が吹くと風力の供給は多くなる

 このようにしてGAPを調整しないといけないことが出てくる
 調整電源としての利用可能性は、石炭火力じゃダメです
 柔軟に出したり減らしたりは原子力発電でも不可能
 こうした再生可能エネルギーは出力にどうしても変動があるので
 調整電源として優れているのがガス発電

 また、再生可能エネルギーは、分散型であります
 これは非常に混乱のもとになります
 
 非常に分散型であり、その間に供給と需要の間のバランスの調整をきちんとしていかないといけない
 大変困難なもんであることから
 人々は混乱してします、不安を持つところがあるが
 できるだけ送配電インフラがつながっておたがって融通しあえないといけない
 ヨーロッパではつながっているが、日本では2つのインフラが分離していると聞いています

 このさらなるインフラの拡充を図るために配電網のインフラを拡大しないといけないし
 送電網へも投資を拡大させていかないといけない

 これをうまく進めていくためには、発電する事業者と、送配電系統を運営する事業者が同一ではいけない
 分離を図らないとなかなかうまくいきません

 風力発電設備の大規模な設備は、大量な発電が可能である
 それを需給をバランスよく使っていくためには貯蔵する機能が必要になる
 揚水発電というものがその機能があるものとして一つある。スカンジナビアやアルプスであったりする

 揚水発電は需要が少ない時は水を上に上げる
 発電余力を蓄えておいて、需要が高まったら下におろす
 それにより電力がの貯蔵が可能な設備

 しかしエネルギーの貯蔵はまだまだ研究を進めていかないといけない

 バッテリー技術もその一つ

 モビリティを確保するためには、非常に決定的な重要性を持つのがバッテリー・ストレージ
 電気自動車には欠かすことができません

 もう一つ私たちが産業側と話している貯蔵・調整と言ってもいいが
 調整の将来可能な方法として、アルミニウム精製工場を使う
 非常に電力を使うが、需要の少ない時に稼働をしてもらって
 それに対して調整が可能になるので対価を支払ってはどうかと
 アルミニウム分野の企業と話している

 調整電源として有望なのがガスであると意識して使ったが
 今後バイオガスの利用も同様に有望に広がっていくことが考えられる
 しかし今は天然ガスを使うしかない
 どこからくるのか
 ロシアからのエネルギー依存度を高めたいのか、という批判が来るかもしれない

 いや、私の答えはNOです
 すなわち依存度を高めたくない
 どこからそのガスをもってくるのか
 市民から持ってくるのです

 ガス、ですね
 こちらドイツでは屋内の、建物の熱供給として使われている
 工場の熱供給もある
 建物の気密性を高めれば暖房の利用が少なくなるので、その分ガスが減るのです

 さらにはこうした建物の気密性向上と並んで
 温水のために地熱を使ったり
 太陽熱をつかったりすることでさらにガスを浮かせることができる
 こうした施策をすすめるためにプログラムに資金を振り分けることが必要ですし
 太陽光利用へのインセンティブも必要になってきます

 この熱供給や気密性というテーマが一方にあり、もう一方に電力というテーマがある
 これがいかにつながっているかは、日本でも見られるのではないでしょうか

 すなわちドイツと日本は生活形態や水準が似通っているのではないかと思うが
 家計あたりの電力使用というのが、ドイツに比べ日本はかなり大きい

 例えば、温水機というのは、電力によって水を温めている
 その電力はどこから来るかというと、変換効率はなんと30%にしかならない原発で生産された電力だったりする
 原発からは排熱がどんどん出ている
 さらに日本は空調、クーラー等の利用が多いので、非常に電力を消費する率が高い

 この準備の中で発見したことですが
 日本の電力消費はドイツの一家計あたりの消費まで下げられれば
 27%の原発利用は完全に不要であることが統計上分かりました

 今の政権を構成している政権は、再生可能エネルギー法制に対して反対を唱えていた
 紹介したような建物回収プログラムに対しても4,5年前までは反対の立場だった
 それを変えてきたが、昨年秋まで脱原発の基本構成にむしろ反対していた

 しかし今回の福島の事故を受けて
 脱原発についても大きな方針転換をした

 個人レベルに話を引き下げて
 簡単に比喩てきにもうせば
 メルケルさんは10年前のトリティーンさんの主張を、10年遅れで取り入れたと

 今回6月の初めに政府により提出された要綱、並びに6月末に連邦議会で採択されるであろう関連法案
 これを見ると脱原発については私どもの主張に沿ったものになってきている

 全体の17基のうち、老朽化している8基を即時閉鎖する

 昨年政権が稼働期間延長の決定を行いましたが
 この決定は撤回されます

 また、運転期間の短いほう、新しいほうの原発も、2022年までに段階的に閉鎖していきます

 脱原発の分野では以上の分野のような方針を政府は取るようになってきたが
 他方で再生可能エネルギーのほうは、原発の稼働期間を長くといっていた昨年に行っていた35%と
 さらに稼働期間を短くする今年は目標が変わっていない

 また、まったくエネルギー変換効率の高い基準を設けることなしに、化石燃料の発電を進めようとしている
 それによりガスでなく石炭火力のほうをすすめていく可能性が高いです

 ドイツは2020年までに、温室効果ガス削減を、1990年比で40%まで下げようという目標を掲げたが
 EUの2020年までの削減目標は20%のままです

 さていま紹介したのは政府の方だが、緑の党がどういう要求を掲げているかです
 政府と同じだが、8基の原発即時閉鎖

 これまでわれわれは稼働延長の撤回を要求してきました

 2020年よりもっと早い時期に脱原発を実現できると考えている
 政府が当初言っていた2040年と2020年とどちらがいいかと言われると当然2020年

 再生可能エネルギーの2020年の割合目標を35%ではなく40%以上と掲げるよう要求しています

 また、効率というものを高さを条件に加えることにより、火力発電所、石炭火力ではなくガス発電所の普及を要求していく

 また、温暖化防止プロセスを国際的に推し進める一助とするために、EUの共通削減目標として、20%ではなく
 日本は25%だったと思いますが
 30%にすべきと要求しています

 また、私たちはエネルギー効率、省エネの目標を拘束力を持つ形で欧州全体で掲げていかなければならないと
 2020年までに20%を、EUで拘束力を持つ目標として掲げることを要求しています

 ドイツの議論はどういうものなのか
 政府と私どもの立場の違いを紹介できたと思う
 
 何十年も原発の問題は私たちの国では意見の対立を進めてきたが
 福島の事故を受けて全政党が賛成された形で脱原発が成立します

 しかし、そこに至るまでの、道のり、これからの道のりに関しては
 高層として政府の持つ方針と、緑の党の方針はかなり違うことがお分かりいただけたと思う
 10年間大変な変化があった。今後10年も大きな変化がある
 10年後講演会が開けるなら、相手側が与党となっており、その考え方の変化が説明できることを祈っています(会場笑)


 その2に続きます。

2011-04-20

浜岡原発PR館、行ってきました


 週刊誌などを中心に、活断層の上にあり日本で一番危ない原発なのではないか、とささやかれている静岡県は中部電力浜岡原発ですが、先日ビジネススクールの仲間と、現場を見て学ぶことは大事であろう、ということで見学に行ってきました(厳密には行ったのは原発じゃなくて原発PR館ですが)。

 浜岡原発が存在するのは静岡県御前崎市、静岡のまん中あたりにとんがっている部分、御前崎を擁する人口34,000人強の都市です。市の南側は遠州灘に面しており、その風の強さを利用した風力発電機が海辺に並んでおりました。風力発電というと、その問題点として低周波音による近隣住民の健康被害や、バードストライク(鳥が巻き込まれる)などが言われていますが、残念ながらそれが確認できる距離までは近づけませんでした。


 御前崎市の中心部で最も人が集まっているのがイオンのショッピングセンター、そして、その次くらいの勢いで、原発PR館にも人が来ていました。

 そう、結構混んでいたのです。

 今の時期のPR館って、かなりガラガラなんじゃなかろうか、と予想していたわけです。だって、原発ってクリーンで安全ですよ、と吹聴する施設に今あえて行こうとは思わなさそうじゃないですか。が、施設はカップルや家族連れなどが結構たくさん。施設には豪華アイマックスシアター(当然全部無料)などもあり、格好の娯楽スポットとなっていたのでした。原発は地域に助成金や雇用をもたらすとは聞いていたけれど、娯楽までもたらしていたとは。

 雇用といえば、原発関連で約3,400人の人が働いているとか。ということは、人口の1/10という規模。まさに、石を投げれば原発作業員に当たる状況ですね。週刊誌がいくら言おうとおいそれと原発をなくせない構造の一つがここにあるのではないでしょうか。

 展示の中心は実物大原子炉。その恐怖すら抱かせる外見は、マンガ『ブラックジャック』に出てきた人間に歯向かう巨大コンピュータを想起させ、いずれ人間の手に負えなくなるもの、という連想をしてしまいます(ブラックジャックが治してくれればいいのですが……)。



 肝心の地震というか津波については、考えられる最も高い津波が来ても大丈夫ですと。でも念のため、更に防波壁をいま作っていますと。え、いや、もっとも高くても大丈夫なんじゃなかったの? その、福島を見てあわてて作り出したところが、全体的に安全基準がユルいんじゃないか、という思いを抱かせてしまいます。

 更に、オトナ向けの原発の技術的な説明のほかに、子供向けの展示がありました。子供向けのものは、原発作業員の体験をしてみるものや、放射線がいかに日常にあふれていて怖いものじゃないと感じさせるものなど、うがった見方をすると将来の原発作業員をいまから教育し、原発をやめられない構造を長期的に維持する仕組み、という風にも見えなくもありません。



 福島第一原発から漏れ出したことで話題になっているプルトニウムを用いるプルサーマルについても、いかに素晴らしいシステムなのか、という説明のみで、そもそもプルトニウムはどういう物質なのか、ということについての説明すらありません。パンフレットのキャッチコピーには、「見てふれて科学するこころ」とありますが、都合のいい一面のみを押し付けるのは科学的というよりは政治的であるのでは、と言わざるをえません。

 個人的には原発を今すぐすべて止めるべき、とは思っていません。しかし、このように政治と金が科学より前へ出てくるような状況は改めるべきだと感じました。そしてまた今回訪問して、実際現場に行ってみて考えることの重要性のようなものを感じました。ネットを捨てよ、町へ出よう、ですかね。



※参考:「原発PR館へ行こう!」
http://wbsmot.blogspot.com/2011/03/pr.html

2011-03-29

原発関連書籍

原発に関する書籍を集めてみました。原発見学のお供にどうぞ。



■推進派

    



■反対派・懐疑派

                  



■中立(技術解説など)

               




<注>
-実際に読んで並べているわけではありません
-よって、内容がおすすめ、というわけではありません
-推進派、反対派、中立の区分も、あらすじ、書評、著者、出版社から「なんとなく」で判断しています(違っていたらすみません)
-並んでいる順番に意味はありません
-逆にお勧めがあったら教えてください

2011-03-28

原発PR館へ行こう!

 日々原子力に関する情報が洪水のように流れ込んできますが、正直シロウトにはチンプンカンプンです。ベクレルとシーベルトって、何、作曲家? みたいな。その一方「正しい知識」はサバイバルのためにも必要以上に騒がないためにも必要で、どこかでやさしく説明してくれるところは……、と探すとありました。各電力会社が原発の近くに作っている、PR館です。

 今後反原発の動きが大きくなると、これらのPR館もなくなってしまう可能性もなくはないので、行くなら今がチャンスではないでしょうか。原発自体の見学は、イラク戦争以降実施していない、というところもあるようですが、「原発はどのようなものか」「原発があるとはどういうことなのか」を見るチャンスでもあります。

 ということで、今度の週末はお近くの原発へ、いかがでしょうか。


※東日本の太平洋岸にあるPR館(東通、女川、福島第一、第二、東海)は3/28時点で休館中のようです。それ以外もお出かけ前にご確認ください。


■北海道電力
○泊発電所[PWR]/北海道古宇郡
 原子力PRセンター「とまりん館」
 http://www.hepco.co.jp/ato_env_ene/energy/pr/tomarin/tour/index.html

■東北電力
○東通原発[BWR]/青森県下北郡(東京電力も2基計画中[ABWR])
 トントゥビレッジ【休館中】
 http://www.tohoku-epco.co.jp/pr/tonttu/index.html

○女川原発[BWR]/宮城県牡鹿郡
 女川原子力PRセンター【休館中】
 http://www.tohoku-epco.co.jp/pr/onagawa/index.html

■東京電力
○福島第一原発[BWR]/福島県双葉郡
 福島第一原子力発電所サービスホール【避難対象区域内】
 http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/pavilion/s_hall-j.html

○福島第二原発[BWR]/福島県双葉郡
 福島第二原子力発電所エネルギー館【避難対象区域内】
 http://www.tepco.co.jp/nu/f2-np/f2land/energymsm/index-j.html

○柏崎刈羽原発[BWR][ABWR]/新潟県柏崎市
 柏崎刈羽原子力発電所サービスホール
 http://www.tepco.co.jp/nu/kk-np/public/s_hall-j.html

■中部電力
○浜岡原発[BWR][ABWR]/静岡県御前崎市
 浜岡原子力館
 http://www.chuden.co.jp/hamaoka-pr/index.html

■北陸電力
○志賀原発[BWR][ABWR]/石川県羽咋郡
 アリス館志賀
 http://www.rikuden.co.jp/alice/index.html

■関西電力
○美浜発電所[PWR]/福井県三方郡
 美浜原子力PRセンター
 http://www.kepco.co.jp/pr/mihama/index.htm

○大飯発電所[PWR]/福井県大飯郡
 エルガイアおおい
 http://www.kepco.co.jp/pr/elgaia/
 エル・パーク・おおい
 http://www.kepco.co.jp/pr/ohi/index.htm

○高浜発電所[PWR]/福井県大飯郡
 エルどらんど
 http://www.kepco.co.jp/pr/eldoland/index.html

■中国電力
○島根原発[BWR][ABWR(建設中)]/島根県松江市
 島根原子力館
 http://www.energia.co.jp/atom/atom14.html

■四国電力
○伊方発電所[PWR]/愛媛県西宇和郡
 伊方ビジターズハウス
 http://www.yonden.co.jp/energy/atom/pr/page_01.html

■九州電力
○玄海原発[PWR]/佐賀県東松浦郡
 玄海エネルギーパーク
 http://www.kyuden.co.jp/life_pavilion_enepark_index.html

○川内原発[PWR]/鹿児島県薩摩川内市
 川内原子力発電所展示館
 http://www.kyuden.co.jp/life_pavilion_sendai_index

■日本原子力発電
○東海第二発電所[BWR]/茨城県那珂郡
 東海テラパーク【休館中】
 http://www.gbsc.co.jp/toukai/kannai.htm

○敦賀発電所[PWR][APWR(建設準備中)][BWR]/福井県敦賀市
 敦賀原子力館
 http://www.gbsc.co.jp/turuga/kannai.htm

■日本原子力研究開発機構
○もんじゅ[FBR]/福井県敦賀市
 アクアトム
 http://www.jaea.go.jp/09/aquatom/index.html
 エムシースクエア
 http://www.jaea.go.jp/09/mcs/mcs1.html

○東海再処理施設[再処理]/茨城県那珂郡
 アトムワールド
 http://www.jaea.go.jp/04/xtokai/index.html
 りこってぃ
 http://www.jaea.go.jp/04/ricotti/

■日本原燃
○六ヶ所再処理工場[再処理]/青森県上北郡
 六ヶ所原燃PRセンター
 http://www.6prc.co.jp/

【注釈】
*PWR :加圧水型原子炉
APWR:改良型加圧水型軽水炉
BWR :沸騰水型原子炉
ABWR:改良型沸騰水型軽水炉
FBR :高速増殖炉

再処理:核燃料再処理工場

【出所】
wikipedia "日本の原子力発電所"
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%AD%90%E
5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80

2011-03-27

非常時のマネジメント

 今回の震災や原発事故において、さまざまな人たちの活動に賞賛が集まり、またその一方さまざまな人たちの言動に批判が集まっている。

 賞賛されているのは、例えばこういう人たちである。

  -自衛隊員、各国救援隊
  -レスキュー隊員(消防士)、機動隊(警察官)
  -東電・関係会社スタッフ

 被災地での自衛隊による救援活動(3/26現在で自衛隊員が救出した被災者は 19,000人超 *1)や、原発事故に命がけで対処するレスキュー隊などの活動における「プロの仕事」に対し、国民は感嘆・感動し、惜しみない拍手を送っているのである。


 その一方、非難が集中している人たちがいる。

  -菅内閣総理大臣
  -東電マネジメント層(清水社長以下)
  -石原都知事

 都知事は「天罰」発言(*2)が批判の的となった。また、菅総理や東電社長などは、原発の震災や津波に対するリスクマネジメントや、事件後の対応などについて批判が集中しており(*3)、また情報を隠蔽しているのではないか(*4)、などと懐疑的な視線を浴びている。


 これだけみると、どうも震災に関わる組織のトップは批判を浴び、現場スタッフは賞賛を浴びる(例えば自衛隊のトップは総理大臣)、という傾向があるように見える。もちろん関連するすべての組織においてそういう構図になっているわけではないが、そのような傾向は何に起因するのであろうか。

 その仮説としては、まずスタッフが賞賛されるのは、ひとまず「(日本)組織の現場力の高さ」といってよいのではなかろうか。ここから「現場力の高さの根源は何か」、「維持するにはどうすればよいか」、「どうすればその強みがさらに活きるか」などの議論がその先にあろう(もちろん、本当に力があるのか、という議論もあろう)。一方、非難される方は、さまざまなことが考えられる。

 い)非常時に完全な対応はとりにくく、そしてえてしてトップが非難されがちである
 ろ)日本組織のスタッフの現場力が非常に優れている分マネジメントが弱く見える
 は)日本組織のトップはいざというとき責任を取ろうとしない傾向が強い
 に)原発(など)の危機管理マネジメントが不十分である
 ほ)内閣も東電も、現在のトップがたまたまリーダーシップに欠けている
 へ)原発は大きな利権が絡むため、国民の安全のためだけの判断が行われにくい
 と)東電は株式会社であるので、国民の利益よりも株主の利益を最大化にするマネジメント判断が行われやすい

 (い)(ろ)は、ある意味しょうがない、というもの。もちろんしょうがないと言ってしまった瞬間、そこに進歩はなくなるが。(は)はもしかしたら国民性にもかかわる根の深い問題。とはいえトップ全員が責任を取らない人だらけというわけでもないと思うので、当然改善していく余地はあるかと。

 (に)は技術か知識か想像力か意識かなにかの不足。不足は事件の教訓で補っていくしかないかと。但し、不足していたと認識していたかどうかが重要。認識して補っていなかったのは大問題ですが、一方認識していなかった場合、今後も(想定外の何かによって)同じことが起こる可能性があるということ。

 (ほ)は、総理は有権者の問題、東電は、ガバナンスの問題か。あっさり言うと、それぞれもっとちゃんとした人を選ぶようにしよう(か、選べる仕組みを作るようにするか)、ということか。もちろん「ちゃんとした人」が選択肢にある前提だが。

 (へ)(と)は業界の構造というか、お金の流れに起因する話。いちばん簡単に修正できそうで、実は一番難しいところかも。こういう状況を作ってしまうのも、直すことができるのも政治の力だと思うので、結局は有権者の問題にもなってくるのだけれど。


 もちろん(い)~(と)で現状すべてを説明し切れているとは思わないけれど、要員の一部として実は国民性だったり、有権者の行動に関わる部分もあるとすると、我々も他人ごととして眺めているわけにはいかないのだな、と思う次第。この話はちゃんと書いていくと論文一本あるいは本一冊くらいの長さになっちゃいそうだけれど、取りあえずここではこのくらいで。




【注釈】
*1:平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に対する自衛隊の活動状況(11時00分現在)(防衛省)
http://www.mod.go.jp/j/press/news/2011/03/26a.html
*2:国民全体の罪だ…石原知事「天罰」発言(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110326-OYT1T00223.htm
*3:西岡参院議長が東電社長に不快感 「姿見せず非常に不可思議」(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110324/plc11032422110024-n1.htm
*4:東電・隠ぺい体質 異常事態、なおも矮小化(北日本新聞)
http://webun.jp/news/A100/knpnews/20110317/35372



2011-03-21

関東の飲食店はどうしたらいいのか?

 必要以上の自粛ムードで地域の飲食店が困っている、なんて話もありますが、「大災害時における、直接の大きな被害はなくも計画的な停電が続く都市(つまり今の関東)における飲食店のマーケティング戦略」について、書いてみます。なんだか新規性がありそうなテーマですよね。

 まず、教科書的に書くと、飲食店の現状はこんなカンジですよね。


■図1:現在の関東における飲食店のSWOT分析(*1)


 それを踏まえ、機会・脅威の中で強みを活かし弱みを抑えるにはどうすればいいかというと、こんなカンジでしょうか。


■図2:現在の関東における飲食店のクロスSWOT分析(*2)


 まぁ要するに色々なキャンペーンをやる、ということなのですが。例えば京王線の調布が停電の時間帯には、新宿の飲食店が「今家が停電してる人は○%OFF」とやるとか、東北の日本酒をそろえて、一杯100円+気持ちの分募金を、とやったり、とにかく酒好きはなんだかんだ理由をつけて呑みたがるものですから、その理由づけをしてあげるのがポイントですかね。

 飲食店は厳しい状況が続いていると思いますが、知恵を絞って乗り切り、またそれが被災地の復興にも結び付けば言うことないですね。
 


■補足
*1 SWOT分析/@IT情報マネジメント用語辞典
  http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/swot.html
*2 クロスSWOT分析/@IT情報マネジメント用語辞典
  http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/crossswot.html

2011-03-19

被災時の通信について

 被災時の、「通信」について書きます。

 まず、地震の訪れを知らせてくれたのが携帯へのエリアメール。東京では届かなかったらしいですが、宮城ではちゃんと来ました。来るや否や揺れが来たのですが、そのおかげで震源がだいぶん近いことが想像できました(メールにも宮城沖とありました)。

 揺れている途中で、白石@宮城に大地震! と(Twitter で)ツイートしました(それくらいの余裕はありました)。東北ローカルの地震だと思ったからですが、東日本全体で大揺れだったみたいなので、言われなくてもわかる、というカンジのツイートでしたね。
http://twitter.com/#!/ashi_tomo/status/46085663258447872

 揺れが収まったら、ただちに東京にいる妻と(地元の)富山にいる親に、宮城にいるけど生きている、という旨連絡。妻からはしばらく返事がなかったんだけれど、いつも仕事中は返事をしてこないので、特に気にはなりませんでした。

 一方、母親からはすぐ返事があったんですが、「そうか。ところで富山でもバスでICカードが使えるようになったぞ」みたいな、やたら能天気な内容。どうも外出していてしばらく地震があったことを知らなかったらしく、あとから変なメールを送ってすまんかった、という謝罪が来ました。やれやれ。

 東京では地震直後から携帯がほぼ不通になったという話も聞いたんだけれど、白石では結構通じました。iモードでその晩のホテルを取ったり(取ったけど閉鎖して泊まれなかった)、東京にいる上司からの連絡を受けて生存を報告したりできました(そこで東京も結構揺れたことを知った)。

 地震後TVが見られない中、情報を得る主な手段が Twitter。情報を取る以上に、人々とつながっているというカンジが避難生活における精神的支えになったのかもしれません。しかしあれだけツイートがとびかって、よくサーバが落ちませんでしたね。えらいぞ Twitter。

 また情報を取るだけではなく、発信も行っていました。発信と言っても、避難所や街の様子を伝えるくらいなのですが、数人の実家が白石でという方のお役に多少なりともたてたようで、そこはよかったですね(あまり避難所から緊急通報以外のツイートをするような人も多くないのかもしれません)。

 Twitter はガラケー(FOMA)でやっていましたが、問題になるのが電池。停電していて充電は困難なのですが、出張のため運よくノートPC を持っており、この PC の USB と FOMA をつなぎちょびちょび充電して延命させることができました。また避難所の発電機から充電することもできたのですが、残りの燃料の量が分からないのでちょっと気が引けましたね。

 記事に書いたとおり、タクシーで帰ることになったきっかけも会社の執行役員からのメールなので、携帯のおかげで何とか帰ることができたといっても過言ではない状況なのですが、やはりネックは電池ですね。一度充電すれば半月くらいはもつようなソリューション、こういったものが求められている気がします(燃料電池、なのかなぁ……)。

2011-03-18

宮城で地震にあいました その4

 東京まで行ってくれるタクシードライバー&5人が乗れるジャンボタクシーを探しに行っている交渉隊の帰りを避難所で待つ。街中のガソリンスタンドが閉鎖している中そのようなタクシーがあるかわからないけれど、結局白石じゃ給油できないから県外に出た方がいい、ということになるかもしれない、などと勝手に期待する。

 待っていると、公民館のスタッフの方が、フロアの掃除をしたいのでどなたか手伝ってくれませんかと声をかけてきたので、率先して手伝う。ヨソから来てお世話になりっぱなしだったので、微々たることですが仕事ができて多少気が楽になる(動ける避難民に仕事を与える、というのは、避難所マネジメントのポイントの一つかも知れませんね)。

 眠気をこらえつつ交渉隊の帰りを待つ。天気がよかったことや、近隣の被害がそこまで大きくなかったことにより、避難所はわりとのどかな空気。交渉隊は OK だった場合は TAXI で現れるだろうから、車が来たらすぐ身支度をしないと、と準備する。

 と、交渉隊が歩いて戻ってくる。やっぱダメか……、と思うと、腕で大きく○のサイン。しばらくのちにジャンボタクシーが届くらしい。おお、やった、東京だ! と急いで荷物をまとめに行く。

 公民館の人に東京に戻る旨を伝える。なんだか共に苦労した人たちを置いていくような心苦しさがあり、またボランティアとして残る選択肢もあったのかもしれないけれども、我々が残っても貴重な食料や毛布を使ってしまうだけなので、帰京することにする。

 出発は午後4時。タクシーで電車が動いているらしい大宮まで行って、そこから電車で帰ることにする。車窓からはガラスが割れたビル、全壊した家、瓦が崩れた屋根など、避難所では分からなかった被害の様子が伝わってくる。停電も続いており、日が暮れると周りは真っ暗になる。

 高速は緊急車両専用になっているようで、国道4号線をひたすら南下する。道は意外とすいていたが、反対の北向きは救援物資を運んでいるのかトラックで大渋滞。早急に必要なものが必要なところへ届くことを祈る。

 車が福島県に入ると、街に明かりがついている。建物が崩れているところもあまり見なくなり、人々が比較的普通に生活している様子が見て取れる。その後のことを考えると、このタイミングで帰ることができたのは本当にラッキーだったのかもしれない。

 途中コンビニで休憩する。電気がついているお店に入るのがとても久しぶりに感じる。トイレで水が流れることに感動して、思わず蛇口で顔まで洗ってしまう。

 さらにその後も結構時間がかかり、結局大宮についたのが夜の0時。タクシー代は12万弱(意外と安い?)。運転手さんもこれからまた白石に戻るということで、本当にお疲れ様である。帰れないからここで泊るわ、という人たちと別れ、京浜東北の終電で赤羽を目指す。すると赤羽で電光掲示を見ると、15時着の上野行きが「大幅遅れ」と表示されている。駅員さんに聞くと、本当に来るとのことなので、ホームで待つ。

 待っていると、1時くらいに本当に電車が来た。10時間遅れってどういうことか。しかも15両くらいの電車で乗客はゼロ。非常にリッチな気分で上野に向かい、そこからまたタクシー。

 結局家についたのは2時ごろ。避難所からざっと10時間。妻と無事の再開を喜びあった後、ほぼ初めて見るテレビニュースの映像にくぎ付けになる。大規模災害発生時の TV 報道って、結局被災地以外向けのものなのだね。

 その後避難所の人たちに大変申し訳ない思いをしながらも温かいお風呂に入り、温かい布団に足を伸ばして寝る。あたりまえと思っていたことは、あまりに簡単にあたりまえじゃなくなるのだ。

 来月4月から大学院で MOT を学び始めるタイミングでこの非常に大きな災害が起こり、しかも偶然被災し、さらに原発も予断を許さない状況が続いている。これからの日本をどうしていくべきなのか、しっかり学んで実践していかないといけない、そういう思いを強く抱いている。


<おわり>

2011-03-16

宮城で地震にあいました その3

 うとうと→余震で起きる→うとうと→余震で起きるを何度か繰り返し、朝が来る。絶望的な被害が明確になりゆく第一日目でもあり、復興へ向けた第一日目の、その朝。

 なんと、新聞が届いている。毎日とスポニチと河北新報(ローカル紙)。避難所に積んであって、おひとりさま一部どうぞ、とある。昨日の今日で紙面を作るのも刷るのも持ってくるのもすごいな。これがジャーナリスト魂か。

 TV を見ていなかったので、新聞で被害の様子を知る。写真が訴えかけてくる圧倒的なイメージのパワーにおののく。ありえないようなことが起こり、自分がその当事者として末席を汚していることが上手く自我の中で整理されない。ボクハナゼココニイルノカ?

 外には給水車が来ている。こちらの対応も迅速。あっという間にポリタンクを持った市民の行列ができて、避難所にいない人もたくさんいるのだということを知る。そして、わが家にはこのようなときに水を運ぶタンクがないということに気づく(NHKで、段ボールにポリ袋を入れたものでも水を運べるよ、といっていましたが)。

 朝ごはんは、バナナと、カップラーメン。電気も水道もガスも来ない中お湯があることに驚く。どうもプロパンガスでお湯を沸かしたらしい。食べ物を持っている身としてはもらうことに躊躇したけれど、まだ食べていない人どうぞ、と勧められいただくことに。寒い中なので温かい物が非常にありがたい。

 温まった勢いで外へ出ると、公衆電話に行列ができている。どうも通話ができるようだ。しばらく列に並び、妻と親に電話する。メールでは連絡がとれていたのだけれど、やはりこういうときは声を聞きたくなるもの。まぁいずれ帰るから、家をよろしくね、と妻に言い残す。

 お昼には、今度はおにぎり1つとお味噌汁とおまんじゅうをいただく。おお、まさか白米まであるとは。なんともありがたい話(その後数日たち、追加の食料などが届けられたのかどうかは分からないのですが、お世話になっていたときはこのようなメニューでした)。

 その後、同じ会社の人と、どうやって東京に帰るのか、という会議。候補としては以下の通り。

 1. 新幹線の開通を待つ
 2. 在来線の開通を待つ
 3. 山形までタクシーで行って、飛行機
 4. 仙台までタクシーで行って、長距離バス
 5. レンタカーを借りる
 6. タクシーで東京まで

 色々と皆で手分けして調査した結果、1. 新幹線は、仙台駅で新幹線が脱輪という報道もあり、当分復旧の気配がない。2. も、在来線の駅に行ってみると立ち入り禁止となっていて、どうにも復旧にむけて進んでいる様子がない。3. も、飛んではいたようなのだけれど、1日1便のようで、予約できるかも次の日飛ぶかもわからないので高リスク。

 4. のバスは、楽天トラベルで調べると一応検索結果として空席が出てくるのだけれど、本当に走っているのかもわからないし、仙台行くのにも相当時間がかかるという話もあり、却下。そこで 5. レンタカーということで、白石、福島、郡山のレンタカー会社に公衆電話から電話をしまくったのだけれど、つながらないとろか、貸し出す車がない、というところばかりで借りられず(トヨタレンタリースだけ、サーバがダウンして貸せないと言われました)。

 そんな中、前日に同時に白石で被災した会社の執行役員の人が、お客さん連れだったこともあり、タクシーで帰郷したという情報があったので、メールで確認してみると、半日くらいかかった、という話で、そして(聞いたわけじゃないんだけれど)タクシーで帰るなら代金は会社につけてよいよ、と言われる。

 このメールをみなに見せると、よっしゃよっしゃ、ではタクシーだ、ということで、営業のグループマネージャが持ち前の交渉力を武器に、タクシーがたまっているところに東京まで行ってくれる車を探しに行くことに。


<つづく>

2011-03-14

宮城で地震にあいました その2

 物資を購入後ホテルに戻ってみると、入口が閉鎖されており、ロビーで一夜を明かす、というプランもとれなくなる。周りもどんどん暗くなってきて、しかたがないので周辺で唯一明かりがついていた、新幹線の白石蔵王駅に向かう。

 入口には危険なので入らないで、とも書いてあるのだけれど、中に結構人もいるので自動ドアを手動で開き、中に入る。暖房もきかず、待合室でしばらく凍えつつ、余震のたびに外に逃げようとする→おさまって戻る、を何度か繰り返す。

 しばらくすると、駅員さんから駅に退避している人たちへ、避難所があるので行きなさいという話がある(ということで駅にいなかったら避難所があることも分からなかったかも)。夜道がまっくらで危ないので、何人かでまとまっていくことにする。

 避難所までは駅から歩いて 20分ほど。街灯も消えていたけれど、車通りが結構あったので、車のライトを頼りに歩く。途中、道が結構陥没していたり隆起していたりで、明かりがないとかなり歩きにくい。

 避難所の白石市中央公民館は、思っていたよりも大きな建物。明かりがあり、風雨がしのげ、おまけにトイレで水が流れる(すぐ流れなくなりましたが)という、夢のような環境。名簿に名前を書いて、すぐに畳の部屋の一角に落ち着くことができた。

 部屋にはおそらく近所から避難してきたであろう人がいっぱい(TVでよく見る体育館のようなところではありませんでした)。全員が足を延ばして寝る、というのが困難な広さだったけど、最低気温が氷点下になるような中ではむしろそれが室温という意味ではよかったのかも。

 しばらくして、夕食としてバナナとロールケーキが配られる。このような保存が利かないものがどこから来たのかは謎だったが、みな大変ありがたくいただく。ただ、我々は来る前にコンビニである程度の食料を手に入れられていたこともあり、なるべく他の人にまわるよう気をつかう。

 人数に対して足りなかったのが毛布。我々は5人だったのですが2枚の毛布に皆で足を突っ込んで寝ることに。枕は自分のカバン。また公民館の人が、シーツのような大きな白布を切って、足りない人に配ってくれる。これらの布団とコートにくるまって寝れば、そこまで寒くもなく(部屋にストーブもありました)。

 とはいえぐっすりと眠れるわけでもなく。窮屈なのはさておき、10~20分おきに余震があり、大きな地震があるたびに誰かの携帯(しかも複数)で地震警報が鳴り響き、という環境では、流石にぐっすり眠れない。TV でよく聞く表現で言うと、「余震が続くなか避難民は不安な一夜を過ごしました」というところか。

<つづく>

宮城で地震にあいました その1

 3・11の地震発生時、宮城県の白石市にいました。読んだ人の参考になるかわかりませんが、多くの方に心配をかけたということもあり、起こったことについて書き留めておきたいと思います。

………………

 「その日」は、白石市にある会社の工場で、会議がありました。毎月仙台と白石で交互に開いている会議で、その日はたまたま白石の番でした。

 会議中、携帯電話が普段と違うパターンで震える。同じタイミングで、向かいの人の携帯電話が警報音を立てる。あれ、これは地震警報かな、と思うや否や大きな揺れが。「地震だ!」

 揺れは、大きいというよりは、長い、という印象(後に確認すると、白石は震度6弱)。しばらく収まらなかったので、天井の蛍光灯が落ちそうにないことを確認しつつも、机の下に潜る。警報メールからすぐ揺れたので、震源地は近いのだろうと思い、まさか東京でも被害が出ていたとは思いもよらず。

 数分後、ひとまず揺れが収まり、会議どうしようか……、と皆が戸惑っていると、工場中に避難命令が。余震が続く中敷地内の広場に避難する。玄関脇の池の水が流出し鯉が苦しそうにしていたが、どうしようもなく見つめるばかり。

 従業員全員の無事を確認したのち、解散、ということになる。解散と言われても、というところではあったが、出張者の間では、もしかしたら新幹線が今日中に復帰しないかもしれないから、念のためホテルをとっておこうか、という話になる。

 携帯から楽天トラベルで、白石にとどまることを選んだ4人分、工場最寄りのホテルを抑える。しゃぶしゃぶ食べ放題、というプランで、「今夜はしゃぶしゃぶですよ」などと軽く盛り上がる。一部の人は情報や機能も集中しているであろう、仙台(白石から50km程)へ車で移動することを選択。こういうときの判断は、結構その後の展開を大きく分けますね。

 しゃぶしゃぶを楽しみにホテルへ行ってみると、(ホテルって自分で電源を持っていると勝手に期待していたのだが)中は電気が消えており、とても泊まれる雰囲気ではなさそう。ホテルの人によるととても泊まれる状況じゃない、といわれ、途方に暮れる。

 とりあえず水と食料を確保しよう、ということで、近くのファミリーマートへ。電気が消えている中、店員さんが必死に電卓で対応。誰一人文句も言わず長い列に並んでいました。そのような中、なんとか物資を購入。避難所に入れることがわかっていたら、もうちょっと控え目に買い物したんですけれどね。買った物については、以下イロイロと。


■買って、よかったもの
・大きなエクレア、チョコレート(カロリーと糖分が、空腹への不安解消にもってこいでした)
・ペットのお茶(お茶には殺菌作用も)
・ウィダーインゼリー、カロリーメイト(運びやすく、食べやすい)

■買ったけれど、いらなかったもの
・タオル(顔洗うかな、と思ったけれど、あっという間に断水したので。でも、怪我をしたときとかいろいろと使えるのかも)
・ワンカップ酒(暖房ないところに寝ると思って、温まるために買ったけれど、避難所に入れたので)

■買えばよかったもの
・濡れフェイスタオル的なの(断水時に顔や体をふくのに)
・乾電池で携帯を充電するアダプタ+乾電池(実際は避難所で充電できたんですが、念のために)


(つづく)

ヤシマ作戦遂行のポイント

 東電管轄内における節電活動「ヤシマ作戦(*1)」が展開されておりますが、家庭に
おいて実際どうするのが効率的なのか、調べてみました。


■消費電力用途別シェア

 家庭での消費電力の用途別シェア(*2)は以下の通り。

 25.2% エアコン
 16.1% 冷蔵庫
 16.1% 照明器具
  9.9% テレビ
  4.3% 電気カーペット
  3.9% 温水洗浄便座
  2.8% 衣類乾燥機
  1.6% 食器洗い乾燥機
 20.2% その他

 これの上位から対応するのが効果的のようです。


■項目別対応

 もちろん強制してこうしろ、というものではないですが。

 −エアコン・電気カーペット・温水洗浄便座:よほど寒くなければ、つけずとも服
装の調整で健康に被害は出ないはず
 −冷蔵庫:寒い時期では「弱」でもいいはず
 −照明器具:なるべく消す。電球よりLED。早く寝る
 −テレビ:つけっぱなしにしない(したくなるが)。エコモードの活用。小さいT
Vでみる
 −衣類乾燥機:なるべく干す
 −食器洗い乾燥機:なるべく手で洗う

 また、待機電力もなんと全体の6%もあるとのことです(*3)。
 コンセントを抜くだけだから、簡単ですね。

 更に、家庭用の区分には出てきませんが、オフィスやマンションのエレベータも電
力をつかいます。
 もし断水したら、重い水タンクを持って階段を上り下りしないといけません。
 そのために今のうちから階段の上り下りに慣れておく、というのはどうでしょうか
(エレベータの中に閉じ込められる恐れもありますしね)。


■部門別最終エネルギー消費

 では、民生(家庭)部門が頑張って、どれだけ効果があるのか。

 最終エネルギーの部門別シェア(2008年実績)では、民生部門 33.8%、産業部門
42.6%、運輸部門 23.6% という結果になっています。
 産業部門の比率が最も大きいので、例えば経済活動・生産活動は一時的に本拠地を
関東から西日本にうつす、などの対策も重要かと思いますが、民生部門も全体の1/3
を占めており、この削減は全体に大きなインパクトを与えることができると思いま
す。

 「ヤシマ作戦」、寒くて暗くて滅入りますが、どうせいずれ暑さにこらえることに
なるので、今のうちに寒さを満喫しましょう!

■補足
*1:アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』において、国民から「電気を徴収」して使徒
(敵)を撃ち抜いた作戦名にちなむ。アニメの作戦名の出所は、源平の「屋島の戦
い」(那須与一が扇を射抜いたやつ)
*2:パナソニック←資源エネルギー庁「平成16年度電力需要の概要」
  http://panasonic.co.jp/csd/kaden/denryoku/index.html
*3:平成20年度 待機時消費電力調査報告書/省エネルギーセンター
  http://www.eccj.or.jp/standby/08/index.html
*4:平成20年度におけるエネルギー需給実績(確報)/資源エネルギー庁 総合政策

  
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/jukyu/resource/pdf/100415honbun
.pdf

■参考
 −でんきの情報広場/電気事業連合会
  http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/japan/index.html
 −家庭の省エネ大辞典/省エネルギーセンター
  http://www.eccj.or.jp/dict/index.html
 −光熱費を年間4万円減らす方法
  http://sakugen.dietco2.com/japan/index.html
 −計画停電、暮らしにこんな影響が/朝日新聞
  http://www.asahi.com/national/update/0314/TKY201103130327.html