2011-06-17

トリティーン・元ドイツ環境大臣 講演会(その2)

 こちらが講演の本編です。


○Q&A
Q:わかりやすく講演いただきまして、政策が理解できた
 現在フランスでたくさん原発が稼働している
 当然ドイツにも事故があれば影響があるが
 外交政策を教えていただけないが

A:EUには原発がない、あるいはもう閉鎖した国は、複数あります
 例えばデンマーク、オーストリアといった小規模な国
 そしてより大きなポーランドと言った国は
 フクシマ前までは原発の建造を考えていたが、いま大きな議論になっている
 またイタリアにおいてもご存じのとおり投票総数の95%が原発にNOを突きつけた
 欧州全体を見ると建設中の原発は現在2基
 この2基の新原発、この稼働を開始しても、この数年
 老朽介して閉鎖すべき原発はどんどんあるので
 そこで生じる出力のロスをカバーすることはこの2基ではできない
 ドイツをはじめとするその他の国々の飛躍的な再生可能エネルギーの伸び故のみならず
 いま申し上げた理由から、90年代以降欧州では原発が果たす役割はどんどん小さくなってきている
 そしてかわいそうなフランスの話(会場笑)
 フランスでは夏になると一つの問題に悩まされる
 電力の輸入が必要になります
 なぜか、それは、原発の出力を夏になると下げなければいけない
 冷却水がなくなっていまう
 冷却水の温度が上がりすぎてしまうということがある
 他方で夏ですから、フランスにおいてはクーラーが使われる回数が増える
 我々はよき欧州市民ですので、フランスの同胞たちをもちろん助けてあげます
 しかしフランスにはもう一つの問題があります
 フランスは原発の電力、非常に割合が大きい。ベースロードで75%という大きな割合
 フランスはEUの国ですので、欧州の法規に関しては従わないといけない
 EUとしては2020年まではエネルギーの20%を再生可能エネルギーでカバーすべしと
 こうした拘束力のある方針があるので、フランスも従わなければならない
 フランスの電力が風力、太陽光ということになります
 しかし1/3といっても、夜間は太陽が、数年で押しなべて見た時の割合なので
 夜間は太陽は照りませんし、風が吹かない日もあります
 裏を返していうと、100%の電力需要を再生可能エネルギーでカバーできる日も来る
 そうすると原発はどうすればいいのでしょうか
 つまり原発は夜間出力を上げて、日中出力を下げるような芸当はできない
 システマチックな問題を送配電系統においてもつことになる
 
 私が予想するのは以上のような理由から、恐らく原発の設備の更新とか回収は費用を振り向ける度合いは減っていき
 その代り再生可能エネルギーにシフトしていくのではなかろうか
 ドイツ国境付近の原発は早く閉鎖してほしいが
 私たちが望んでいるスピードで話しえないだろうが
 方向としては少なくなっていくと予想しています

○閉会の辞/坪郷社会科学学術院教授

・私は時間の関係もあるので短く
 申し訳ありませんが日本語で

 赤と緑の連立政権で環境大臣のトリティーンさんが来られて
 大変印象深かった
 3つの話をされた
 まず、赤と緑の連立政権で脱原発の決定をしたがどういうものだったか
 2つは緑の党の現在のエネルギー政策、日本にも示唆があった
 3つ目はメルケル政権が大津原発の決定をしたと

 ドイツは2つの異なった政権が2回脱原発の決定をしたと
 赤と緑の党は2020年には脱原発と

 今回メルケル政権は、大震災という不幸な大災害があったが 
 直後の14日に従来のメルケル政権は赤と緑の決定を延長すると
 時期は延長するということを決めたが
 それを3か月凍結するといち早く言いました
 3か月凍結した間に新たな決定を行うと

 それが6月6日に、2020年までに廃炉をして、最終的に脱原発すると
 これは赤と緑の当のものとほぼ同じもの
 緑の党は従来一番早い時期の2017年には可能という提案をしたと

 連邦環境庁というのがあるが
 メルケル政権が6/6に閣議決定をする少し前に
 連邦環境庁は2017年までに可能という報告書を出した
 これも緑の党と一致

 日本にとっても非常に大事な報告だった
 地震と津波の関係から浜岡原発の中止の要請をして止めた
 菅首相はエネルギー政策の大きな見直しをすると
 原子力エネルギーは明確な立場を表明していないが
 再生可能エネルギー、省エネルギーを推進すると

 今後の政策で第一にすべき点はヨーロッパやドイツに見習って
 エネルギーの自由化、電力の自由化を行って
 ガスと電気の自由化も含めて行う 
 それが基礎になる

 その次に、日本は50Hzと60Hzに分かれているが
 発電会社と送電会社が地域独占をしている
 これを分離するのが第二の重要な点
 ヨーロッパやドイツですでに行われている

 3番目として再生可能エネルギーを増やすために
 全量買い取り制を法案化する

 さらに今日強調されたように、省エネルギーが重要
 日本で10%省エネルギーをすれば脱原発ができる
 3割くらいと言われているが
 大震災と点検のために20%を切って
 16%くらいにすでに下がっている
 これは再開されないといずれ10%にまで下がる
 そこまで高くなくてもいける状況にいまある
 そうすれば省エネをさらに進める
 住宅と建物の省エネ

 最後の点は、強調されたように
 現在の電力網では不安定な部分もある再生可能エネルギーの調整は難しい
 IT技術を加えたスマートグリッド網を作りとできる
 そういう構想も主張された

 今日提案されたことを選択する時期に来ていると考えている
 今日は情報に満ちた素晴らしい講演をありがとうございました


○まとめ/トリティーンさん
・昨日、私はいわきを訪問いたしまして
 自宅から離れ避難しなければならなかった人たちを話をした

 あちこちを転々として、いまいることは8か所目だ、と言った人がほとんどだった
 お子さんたちは2回目、3回目の転校をしていた
 家だけでなく、仕事を失っている人たちがほとんどだった

 新聞を読むと、汚染された汚泥の問題が深刻化し
 放射性廃棄物として簡単に処理できないものが簡単に溜まっている

 また、いわき周辺には3月以降まったく漁に出られない漁業関係者がたくさんいました

 わたくしがこうしたことを申し上げたのは、事故を受けて実際に価格金銭的費用が原発のコストの一面
 これに人間的に及ぶ被害、苦しみ、そして経済的な問題加えて全部原発のコストとしてみていかないといけないのです
 
 こうしたことにかかる費用というのは、一部今回補正予算の中に組み込まれ、増税の中にも入ってくると思います
 こうしたことをみると、原発というのは、コストが安く済む費用対効果のいいエネルギーと言える人はいなくなるとおもう

 現在、今回の原発事故を受けて直接的に生じたエネルギー供給の穴があり
 そうしたものをこれから今代替している
 あるいは省エネによって変わることを模索しているが
 こうした状況からどうしていくか
 原発を、何もなかったように続けていくのかということ
 それよりは、いま(坪郷)先生がおっしゃられたようなシナリオを選ぶのか
 先生のシナリオのほうが有意義だと思います
 ありがとうございました

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