2011-04-20

浜岡原発PR館、行ってきました


 週刊誌などを中心に、活断層の上にあり日本で一番危ない原発なのではないか、とささやかれている静岡県は中部電力浜岡原発ですが、先日ビジネススクールの仲間と、現場を見て学ぶことは大事であろう、ということで見学に行ってきました(厳密には行ったのは原発じゃなくて原発PR館ですが)。

 浜岡原発が存在するのは静岡県御前崎市、静岡のまん中あたりにとんがっている部分、御前崎を擁する人口34,000人強の都市です。市の南側は遠州灘に面しており、その風の強さを利用した風力発電機が海辺に並んでおりました。風力発電というと、その問題点として低周波音による近隣住民の健康被害や、バードストライク(鳥が巻き込まれる)などが言われていますが、残念ながらそれが確認できる距離までは近づけませんでした。


 御前崎市の中心部で最も人が集まっているのがイオンのショッピングセンター、そして、その次くらいの勢いで、原発PR館にも人が来ていました。

 そう、結構混んでいたのです。

 今の時期のPR館って、かなりガラガラなんじゃなかろうか、と予想していたわけです。だって、原発ってクリーンで安全ですよ、と吹聴する施設に今あえて行こうとは思わなさそうじゃないですか。が、施設はカップルや家族連れなどが結構たくさん。施設には豪華アイマックスシアター(当然全部無料)などもあり、格好の娯楽スポットとなっていたのでした。原発は地域に助成金や雇用をもたらすとは聞いていたけれど、娯楽までもたらしていたとは。

 雇用といえば、原発関連で約3,400人の人が働いているとか。ということは、人口の1/10という規模。まさに、石を投げれば原発作業員に当たる状況ですね。週刊誌がいくら言おうとおいそれと原発をなくせない構造の一つがここにあるのではないでしょうか。

 展示の中心は実物大原子炉。その恐怖すら抱かせる外見は、マンガ『ブラックジャック』に出てきた人間に歯向かう巨大コンピュータを想起させ、いずれ人間の手に負えなくなるもの、という連想をしてしまいます(ブラックジャックが治してくれればいいのですが……)。



 肝心の地震というか津波については、考えられる最も高い津波が来ても大丈夫ですと。でも念のため、更に防波壁をいま作っていますと。え、いや、もっとも高くても大丈夫なんじゃなかったの? その、福島を見てあわてて作り出したところが、全体的に安全基準がユルいんじゃないか、という思いを抱かせてしまいます。

 更に、オトナ向けの原発の技術的な説明のほかに、子供向けの展示がありました。子供向けのものは、原発作業員の体験をしてみるものや、放射線がいかに日常にあふれていて怖いものじゃないと感じさせるものなど、うがった見方をすると将来の原発作業員をいまから教育し、原発をやめられない構造を長期的に維持する仕組み、という風にも見えなくもありません。



 福島第一原発から漏れ出したことで話題になっているプルトニウムを用いるプルサーマルについても、いかに素晴らしいシステムなのか、という説明のみで、そもそもプルトニウムはどういう物質なのか、ということについての説明すらありません。パンフレットのキャッチコピーには、「見てふれて科学するこころ」とありますが、都合のいい一面のみを押し付けるのは科学的というよりは政治的であるのでは、と言わざるをえません。

 個人的には原発を今すぐすべて止めるべき、とは思っていません。しかし、このように政治と金が科学より前へ出てくるような状況は改めるべきだと感じました。そしてまた今回訪問して、実際現場に行ってみて考えることの重要性のようなものを感じました。ネットを捨てよ、町へ出よう、ですかね。



※参考:「原発PR館へ行こう!」
http://wbsmot.blogspot.com/2011/03/pr.html

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